もっと若い時に知っていたかったバカ売れ企画のなぜ

流用すれば発想のヒントに?! 帰国子女でコネなしで業界に入り込み、20年間やってきた放送作家が分析した「採用されている企画」のポイント

#5 「情報の紹介にならないように」気をつける

通らなかった企画書から 失敗のエッセンスを学び

「通る企画書に必要な要素」を学ぶ

もっと若い時に知っていたかったバカ売れ企画のなぜ

 

#5の題材は「苦手克服 秘 テクニック」です。

 

この企画書はフジテレビに出しました。

企画書として何がダメだったのか? という目線で改めて紐解きます。

 

スクリーンショット 2015-05-27 23.47.09.png

 

この企画書で最もダメなこと、 それは…

「情報の紹介」になっていること。

 

2ページ目から3ページ目まで

苦手を克服するための具体的な例が書いてあります。

スクリーンショット 2015-05-27 23.47.36.png

 

これをリサーチすることは、 実は地味に大変なので、

ついついそのまま書いてしまいがち

 

でも、それはこちら側の都合で、 読み手側には関係がありません。

 

読み手側からすると、 リサーチ資料をそのまま載せているだけ

という印象にしかなりません。

 

確かに情報の選別も、センスが必要で

セレクトショップのように選ばれた情報がよければ、

そのまま売れそう=採用されそうですが、 それは大きな勘違い。

 

セレクトショップの場合、 単に商品を置いてあるのではなく、

それを使うことで、 こんな素敵な生活になるという

ライフスタイルが想像できるから、

購入にいたるのではないでしょうか?

 

という目線で企画書の情報を見てみると、

そこまでには至っていないことがわかります。

 

そこで必要なのが この情報を使って、

どんな企画を展開したら面白そうか?

という 「提案」を記すこと。

 

これがセレクトショップでいう、 ライフスタイルの提案にあたります。

 

この情報を使って、 どんなことをすれば面白くなるか?

というネタを書いて、 初めて「提案」となります。

 

企画書にある

●音痴克服:ボイストレーナー上野直樹の音痴矯正

 ・ティッシュをくわえての練習で声量をUPさせる。

 ・ひょっとこ口に割り箸を載せ、口と舌の動きを促す。

 上記を各3分ずつ実践するだけで、歌唱力がグングン上昇する。

 

というのは単なる情報ですが、

例えばこれに

音痴の芸能人が実践し、 カラオケで90点以上を取れるか?

というショーで見せる! というアイデアを乗せると 「提案」になります。

 

これらが、いろいろな情報について提案されている状態で

初めて企画書のスタートラインに立てるのです。

 

集めるだけ、機械的に並べるだけなら新人でもできる。

これは師匠に言われた言葉です。

 

集めたものを どう調理し、

それを魅力的に並べるか これを仕事と呼ぶのだと。

 

お寿司屋さんで考えると、

せっかく仕入れた魚を 姿そのまま切りもせずに、お客に出したら、

「これは食べたくない」となります。

 

でも、 下ごしらえをして、 握り寿司にするという仕事を施すと、

そこに「新しい価値」が生まれて 金銭のやりとりが発生します。

 

僕らは寿司職人のように、 情報に仕事を施し、

企画書を読むお客さんが

「食べたい!」と思う状態に仕上げてから 出さねばなりません。

 

企画書を書く人は、 情報屋ではないのです。